綿ポリ(T/C)生地とは

綿ポリ生地について

シワに強くて縫いやすい、乾きが早くて糸くずが出にくい 綿ポリ生地の専門店 生地のマルイシの店長イシイです。

綿ポリを知っている方も知らない方にも今一度、じっくりと解説してみようと思ってこの記事を書くことにしました。

※繊維業界ではタテ糸は経糸、ヨコ糸は緯糸と書きます。縦糸、横糸とは書かないのでご注意ください。

当店が綿ポリを推す理由

それは洋裁の難しさを 布地で解決したいから

僕がネット通販から手芸業界に入って一番感じたのは

「洋裁ってめちゃくちゃハードル高い」ということで、とにかく落とし穴が多すぎます。

・めっちゃ縮む

・生地が柔らかいとめっちゃ裁断しにくい

・硬すぎて縫えない(家庭用ミシン)

・ファスナーつけるの鬼難易度

・水通ししても干すスペースない

・広い机無いと裁断しにくい

・床でやってたら膝痛くなる

ちょっと疲れてきたかも。

あげればキリが無いんですが、こんな感じで洋裁が嫌いになりました。

中でも特に嫌だと感じたのは、 水通ししないとダメな生地 縫いにくい生地 糸くずがめっちゃ出る生地 裁断しにくい生地

「あれ?でもこれって割と生地選びで解決できるんじゃ?」 で行き着いたのが綿ポリでした。

「綿ポリいいじゃん。これもっと知ってもらおう。」 という感じで今に至ります。

店長の”洋裁の嫌”を解決してくれたのが綿ポリだったんです。

だから、当店では綿ポリ生地をめちゃくちゃ推しています。

綿ポリのメリット・デメリット

なんでもいいことばかりじゃないのがこの世の常。

まずは綿ポリのデメリットから

毛玉問題 これにつきます。ところで皆さん、毛玉ってなんでできるか知ってますか? 汚い絵ですみません。 こういう仕組みで毛玉は起こっています。つまり、ポリエステルを使用している当店の綿ポリ素材は毛玉になりやすい布地だということです。

しかし、紡績メーカーもポリエステルの毛玉問題に指を咥えてみているだけではありません。

毛玉になりにくいポリエステル糸の開発

紡績メーカーが毛玉になりにくいポリエステル糸を開発してくれました。 もちろん、全く毛玉にならない というわけではないんですが 当店の綿ポリは、昔のものに比べると同じ綿ポリでも随分毛玉にはなりにくくなっています。

綿ポリのメリット

・シワに強い

・色落ちしにくい

・洗濯してもヨレにくい

・なのに風合いはコットンにかなり近くてゴワゴワした感じがない

ポリエステルとコットンの特徴をそれぞれ併せ持つ、それが綿ポリなのです。

綿ポリにも2種類あります

綿ポリには交織と混紡の2種類があります。まずは交織からご紹介します。

交織の綿ポリとは

“交わる”に”織る”と書いて交織です。名前の通り、ポリエステル100%糸とコットン100%糸をそれぞれタテヨコに使用した綿ポリ生地で、当店の4500シリーズなど代表作はコレです。

さらに交織にも2種類ありまして

タテ糸にコットン、ヨコ糸にポリエステルを使用したver.1

タテ糸にポリエステルヨコ糸にコットンを使用したver.2 4500シリーズ8000,6000シリーズなど淡い色が特徴の綿ポリ生地はver.1に属します。

一方3500シリーズの淡いような濃いようなっていうものがver.2です。 4500と3500で記事の雰囲気が違う(3500のほうが濃い)のはタテ糸の密度のほうが高い事と45003500シリーズはポリエステル糸のみを染めているから(染め分けができる)という理由で、密度の高いタテ糸にポリエステルを使用した3500シリーズ4500シリーズなどよりも濃く染まっているのです。

混紡の綿ポリとは

“混ぜて” ”紡ぐ” と書いて混紡です。これも字の通り、コットンの”わた”とポリエステルの”わた”を撚り合わせて作った綿ポリ混紡糸を使って織ったものを混紡の綿ポリといいます。

当店で言えば、2000シリーズ6526シリーズnew938シリーズなどがこれにあたります。 手芸屋さんでも多く出回っているのがこっちのタイプ。

よく保育園のスモックや、学校給食のエプロンなどにも使われていて防シワ性に重点を置いてかなり硬く仕上げているものが多いのでちょっとゴワっとしたイメージです。 当店では服地にもおすすめしたいので、なるべくゴワっと感のないソフトな感じに仕上げています。 2000シリーズを触っていただいたことのあるお客様ならわかると思います。

綿ポリでもいろんな呼び方があります

T/C、E/C、P/C、綿ポリ、コットンポリ いろんな呼び方がありますがどれも綿ポリです。 ちなみにT/Cはテトロン/コットンでテトロンは商標です。テイジンの”テ”と東レの”ト”とナイロンの”ロン”をあわせて”テトロン”です。

なのでT/C表記は東レとテイジンが作ったポリエステル糸を使用しないと使用できません。うちはテイジンなので、使えるんですが綿ポリのほうが分かりやすいと思っているので使いません。 E/Cはエステル/コットンでこれは商標じゃないので、上記2社以外のポリエステル糸を使っていても使用できます。これも分かりにくいのでうちでは使いません。

P/C これは見たことないんですが、検索すると一応出てきたので載せています。この表記はほぼ使わないと思います。聞いたことも見たこともほぼ無いです。

で、綿ポリですが、これもうち以外ではあまり見ない気がします。 最後にコットンポリですが、綿ポリよりもシェア高い感じがします。ポリが英語なんだから綿もコットンでしょ、っていう理屈はわかるんですけど なんか綿ポリのほうが個人的には親しみやすくてしっくりきます。

素材の判別方法

よく福袋を購入いただいたお客様から「素材がわからない」とお問い合わせをいただくので 素材の判別方法をご紹介します。燃焼法による判別が一番簡単なので、それでいきましょう。 一覧表があるので、そちらを載せます。危ないので、シンクでやるとか燃えないところでやりましょう。 また、布を燃やすのではなく、タテ糸、ヨコ糸をそれぞれ1本ずつ取り出して燃やしたほうが安全です。 混率まではわかりませんが、素材がわからないものがあれば参考程度にはなるかと思います。

マルイシの生地は先染め?後染め?

たまにお客様にマルイシさんのチェックやストライプ、シャンブレーは先染めですよね? と聞かれるんですが、品番によっては後染めのものもあります。後染めなのに、柄が作れるの?って不思議に思いませんか? そこの秘密をちょっとだけご紹介したいと思います。 品番によって、と言いましたが、具体的には交織の4500や8000,6000などがそうです。混紡の2000シリーズなどは先染めです。 で、柄の作り方なんですが上記”綿ポリの交織とは”で説明したように、ポリエステルとコットンは染料や染色温度によって染め分けができます。つまり、コットンだけ染めたり、ポリエステルだけ染めたり、ということができます。そこで、たとえば、ヨコ糸にポリエステル糸、タテ糸にコットン糸を使ってポリエステルだけ染めるとシャンブレー(タテ糸ヨコ糸で色が違う織物)ができるわけです。それを応用すると、後染めなのにギンガムチェックやストライプ、ドット、グレンチェックなどができるんです。で、この後書く「無地織りが難しい」ということにもつながるんですが、染めてみないと織り欠点がわからないという怖い織物でもあります。

無地織りが難しい

いろんな難しい織物ってあると思うんですが、みなさんがイメージされる難しい織物ってなんでしょう。超複雑な柄物でしょうか。 それはそれでもちろん難しいと思うんですが、織物として言えば無地シャンブレーがかなり難しい。プリントものは織り欠点などがあってもプリント載せちゃえばわからない部分もあります。ですが、当店の4500など無地シャンブレーだと織りの欠点が一発でわかります。だから、うまい機屋さんで織ってもらうことが重要なのはもちろん、いい糸を選ぶ必要があります。失敗すると全量ダメってことも、まああります。それに4500シリーズなどは後染めなので、染めるまで織り欠点が分かりにくい。できたと思って、染めてみると、全然ダメじゃん、やり直し。ってことも。

だから日本で作りたい

簡単に見えて、実はそう簡単じゃない当店の布地。だから日本で信頼できる職人さんにお願いしたいんです。生まれ育った土地でみんなで飯食えるが一番いいじゃないですか。 というわけで当店の綿ポリのご紹介でした。

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