コットン糸の種類について

コットン糸について生地屋店長が紹介します。洋裁には直接関係はありませんが、生地を見るときにちょっと楽しくなります。

この記事を読むと…

ユニクロのスーピマと書かれたTシャツをみると、「あのスーピマ!!」と思えるようになります。

生活がちょっと楽しくなる、豆知識をお届けします。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

織物を作る際に必要な、経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)。

縦・横とは書きません。糸偏がつくように、経・緯という漢字の成り立ちは織物が元になっているとも言われています。漢字になるほど織物の歴史は古く、人々の生活に根ざしたものでした。

今日は糸の話です。

コットンの綿花、紡績、太さ、意匠について

原綿(綿花)について

原綿 所々見える茶色の部分はコットンのカスのような物です。元は真っ白ではありません。また、元々茶色の綿花も存在します。厳格なオーガニックコットン商品で色がついている物は、茶色の綿花を使用するか、天然の染料で染めた物になります。

コットンの産地

原産国綿の名前価格イメージ
インドスヴィン綿高級
エジプトギザ綿高級
カリブ海海島綿高級
アメリカスーピマ綿高級
中国新疆綿高級
高級綿の産地と名前

そのほかに、トルコ綿、インドネシア綿、ペルー綿、ブラジル綿、ジンバブエ綿、パキスタン綿、などもあります。

産地による繊維長の違い

天然繊維では、繊維長が長いほど高級とされており、次の3つに分類されます。

短繊維綿21mm以下
中繊維綿21-28mm
長繊維綿28mm以上
超長繊維綿35mm以上
綿花の繊維長による分類
綿花の拡大写真 よくみると細い繊維の集合体であることがわかります

上記写真でわかるとおり、綿花は細い繊維の集合体です。

その繊維1本1本の長さが
21mm以下:短繊維綿
21-28mm:中繊維綿
28mm以上:長繊維綿

とランクがつけられます。
ちなみには超長繊維綿はエジプトのギザ綿、アメリカのスーピマ綿、中国の新疆綿、それにカリブ海の海島綿など高級綿が分類されています。

特にカリブ海の海島綿はその中でもトップクラスと言われています

幻のコットン、繊維の宝石と言われており、コットンの頂点です。

目ん玉飛び出るほど高い、と聞いたことがあります。

スーピマ綿はユニクロのTシャツに使われて有名になりました。ユニクロであっても特別に安く仕入れられるわけではないので、原価率の高い商品になっているとか聞いたことがあります。
スーピマのTシャツをあの値段で着させてくれるユニクロ、流石です。

繊維長による見た目や肌触りの違い

繊維長が長くなるとピカッとしたツヤが出て、肌触りも滑らかになります。
鏡をイメージしてもらうとわかると思いますが、表面に凹凸のない鏡は光りますが、すりガラスのように表面がボコボコざらざらしていると光りません。
繊維も同じで、繊維長が長いと糸を紡いだ際に糸の表面が滑らかになるので光沢が出ます。シルクも同じ理由で繊維長が長いので光沢があります。

肌触りは繊維長とは別に、コットンに含まれる油分の違いでも差が出ます。

インドのスヴィン綿は油分が多く直接肌に触れる下着やTシャツなどにすると、とても着心地がいい服が出来るそうです。

紡績(ぼうせき)について

原綿は同じでも、紡績によっても出来る糸は大きく変わってきます。
普通は色んな産地のコットンをブレンドして紡績することが多いです。
コットンは農作物なので、地域や年によって出来が良かったり、悪かったりします。
果物みたいですね。
様々な産地のコットンをブレンドすることで、品質を安定させています。

紡績方法も大きく分けて二種類あります。

  • リング糸(=リングスパン糸)
  • 空紡糸(=オープンエンド糸=OE糸)
リング糸空紡糸
リング糸空紡糸
面が均一面が不均一
糸の撚りが均一糸の撚りが不均一
しっかりやわらか
切れにくい切れやすい
様々な太さを作れる細い糸が作りにくい
ハイコストローコスト
紡績方法による糸の特徴の違い

糸の太さについて

1本(単糸)の細い糸
1本(単糸)の太い糸
2本(双糸)の太い糸

細い糸を使えば、薄い生地、太い糸を使えば厚い生地ができます。
また、糸も1本で細い糸、太い糸、2本で細い糸、太い糸、3本撚られた三子(みこ)という糸もあります。
自分の作りたい生地に合わせて最適な糸を選択します。
糸は番手という単位で表現されます。20番、40番、50番、60番など、数字が大きくなれば糸が細くなります。
長繊維はデニール表記されます。ストッキングを使われる方は番手よりもデニールの方が糸の太さの表現としてはしっくりくるかもしれませんね。

丸石織物の綿ポリダンガリーシリーズは20番単糸を使っています。

意匠(いしょう)について

意匠糸という糸があります。
通常の糸に何らかの意匠が施してある糸で、有名なところではシャネルツイードがあります。
シャネルツイードは意匠糸を使って、ユニークで繊細な柄を表現しています。

ループがついた意匠糸

質のいい糸と自分の目指す生地

私は“自分がどんな生地を作りたいのか”に合わせて糸を選ぶことが肝心だと思っています。

例えば、ナチュラルな感じを出したいのに高級な光沢のある糸を使うと、ややチグハグな感じになります。
作る生地でお客様にどう感じて欲しいのかを考えてそれにあったベストな糸を選び、喜んでいただくことが私たちの仕事だと思っています。

丸石織物の店長石井は縫ナビでは生地に関する情報を主に発信していきますので、次の記事もお楽しみに!

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