前回のコットン糸に引き続き、ポリエステル糸の種類とリサイクルポリエステル糸について紹介します。
洋裁には直接関係はしませんが、知っておくと生地をみるときにちょっと楽しくなる。
そんな記事です。すべての生地好きさんへ送ります。
もくじ
スパン糸とフィラメント糸
ポリエステル糸には短繊維(ステープル)と長繊維(フィラメント)の2種類があります。
短繊維(ステープル)について
短繊維はポリエステルわたをイメージすると分かりやすいです。
ポリエステルわたはふわふわと弾力があり、衣類によく使われる素材です。
短繊維のポリエステル糸(スパン糸)はポリエステルわたを撚り合わせることで糸にしており、主に衣料用に使用されます。
フィラメント糸に比べて天然繊維に近い雰囲気を持っています。
コットンのような風合いなのにシワに強い綿ポリダンガリー
「ポリエステルっぽいゴワゴワ感がない」
と、お客様に評価をいただいている、綿ポリダンガリーですが、これはコットンの風合いに近いポリエステルスパン糸を使用して作っているからです。
また、よりコットンの風合いに寄せるために、国内の加工場で加工にも拘っています。
当店の綿ポリ生地を使っていただければ、これまでの綿ポリのイメージがグッと変わると思います。
長繊維(フィラメント)について
長繊維は釣り糸、網戸、ビーズで使うテグスなどをイメージすると分かりやすいです。
- 長繊維のポリエステル糸(フィラメント糸)は
- 釣り糸
- 網戸
- シートベルト
など、衣料用以外にも、私たちの身近なものによく使われています。
また、生地が好きな人には聴き馴染みのあるソロテックスも、フィラメント糸でできています。
当店は現時点ではフィラメント糸を使った綿ポリ生地は扱っておりません。
短繊維と長繊維のまとめ
スパン糸 | フィラメント糸 |
---|---|
光沢が弱い ナチュラルな雰囲気 天然素材と合わせて使っても馴染みやすい | 光沢が強い シルクなどに近い雰囲気 細くても強い |
主に衣料品 | 衣料品 網戸などの資材 |
ミシン糸にもスパン糸とフィラメント糸があります。
スパン糸はコットン素材などと相性が良いのが特徴です。
フィラメント糸はシルク生地や光沢のあるポリエステル生地などを縫うのに向いています。
丸石織物の綿ポリ生地はリサイクルポリエステルを使用しています
丸石織物の綿ポリ生地は、ペットボトルや廃棄される衣料品から作られるリサイクルポリエステル糸ECOPET®(帝人商標)を使用しています。
私たちメーカーは“環境に配慮しつつ、いい商品を作る”ということを求められています。
ポリエステル繊維の便利な機能は私たちの生活を豊かにしてくれます。
環境破壊に繋がりにくいエコペットを使用することで、”便利な生地”と”環境に配慮した生地”を両立させています。
サスティナブルとは
“無駄にしない”ことをまずは出来る人が出来ることから始める、それが本当のサスティナブルであって、「無駄にせずいきましょう、私たちも出来るだけ頑張ります」と行動して製品で示すことが企業のサステナビリティだと私たちは考えています。
私たちが生活をするために衣服を着ることは止めることができません。
服の元となる、綿花を作るのに大量の農薬が使用されます。
また、ウイグル自治区の強制労働問題もあります。インドでは綿花栽培は児童労働の温床になっています。今の状態が良いとは言えませんが、これが世界の現状です。
綿やポリエステル繊維が悪いわけではなく、ものを簡単に買って、簡単に捨てる人間が悪いと思っています。
物が安く買えてしまう先進国の状況や、発展途上国の暮らしをつなぐためのインドの児童労働問題は、密接に絡み合っています。
発展途上国の彼らの生活保証を解決しなければ児童労働問題は解決できないので、根深い問題です。
賃金をあげればそれで良いのか、そもそも児童を労働させることが問題なのか。
私たちに何ができるのかを考えて行動していくことそれこそが「サスティナビリティ」だと考えます。
当店の綿ポリ生地は入園グッズにしたら卒園まで、ほぼ変わらず使えたなどのレビューもいただいており、永く使えるものが出来ます。
すぐにヘタって買い換える、作り直すより、遥かに環境にとって良いと思っています。
綿ポリ生地に使用しているポリエステルはスパン糸です。コットンのようなナチュラルな雰囲気、手触りなのにシワに強い、という生地を作るのに最適な糸です。